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木造住宅の地震対策①|築40年・50年の家は、耐震補強で強くできる?

11 時間前
読了時間: 5分

築41年のリノベーション展示場施工前
築41年の木造住宅をリノベーションした藤枝展示場。写真は改修前の和室の続き間。

耐震基準の変化と、古い家を活かす構造補強の考え方


「築40年以上経っているけれど、リノベーションしても大丈夫?」

古い住宅のリノベーションを検討するとき、気になることの一つが耐震性ではないでしょうか。

特に静岡では、地震への備えは住まいづくりで欠かせないテーマです。

築年数が経過した住宅でも、建物の状態を調べ、必要な補強を行うことで、耐震性能を高められる可能性があります。

今回は、木造住宅の耐震基準の変化と、あすなろ設計事務所が大切にしている構造補強の考え方をご紹介します。



古い家は本当に地震に弱い?


木造住宅の耐震基準は、大きな地震の被害や建築技術の進歩を受けて見直されてきました。

特に知っておきたいのが、1981年と2000年の改正です。

1981年6月1日|新耐震基準の施行

大きな地震に対して倒壊・崩壊しないことを目標とする考え方が導入され、木造住宅では必要な耐力壁の量も見直されました。

2000年6月1日|木造住宅の構造基準の明確化

耐力壁をバランスよく配置する方法や、柱と梁・土台などをつなぐ接合部の仕様、地盤に応じた基礎の考え方が明確になりました。

さらに、2025年4月1日には、建物の重量をより適切に考慮して必要な壁量などを算定する基準へと見直されています。


木造住宅の1981年・2000年・2025年の主な耐震基準の変遷
耐震基準の変遷


つまり、同じ新耐震基準の住宅でも、1980年代・1990年代と2000年以降では、建築当時の構造に関する規定に違いがあります。

また、築年数だけでなく、これまでの増改築や雨漏り、シロアリ被害などによっても、建物の状態は変わります。

そのため、古い住宅だから必ず危険というわけでも、新耐震基準だから必ず安心というわけでもありません。

大切なのは、今の建物がどのような状態なのかを正しく知ることです。



耐震補強は「壁を増やすだけ」ではない


地震に強い家というと、筋交いや構造用合板などで壁を補強するイメージがあるかもしれません。

もちろん耐力壁は重要ですが、単純に壁を増やせばよいというものではありません。

例えば、昔の住宅では南側に大きな窓や縁側があり、北側には比較的多くの壁が配置されていることがあります。

このような間取りでは、壁の強さが偏り、地震の際に建物がねじれるような動きをする場合があります。


藤枝展示場の木造住宅における耐力壁の既存配置と補強計画の比較
現状の耐震診断(左)と補強計画案(右)

また、強い壁をつくっても、その力を柱や梁、床、基礎へ適切に伝えられなければ、本来の性能を十分に発揮できません。

壁を強くしたことで、接合部や基礎に大きな力が加わることもあります。

そのため、耐震補強では壁の量や配置だけでなく、柱・梁・床・接合部・基礎などを建物全体で考えることが重要です。



間取りの自由度と耐震性能を両立するリノベーション


リノベーションでは、細かく仕切られた和室や居間をつなげて、広いLDKに変更したいというご希望も多くあります。

その際、問題になるのが柱や壁の位置です。

柱や壁を撤去できれば空間は広がりますが、建物を支えている重要な部分を安易に取り除くことはできません。

あすなろ設計事務所では、柱を撤去できるかどうかを構造面から判断し、必要に応じて梁などの補強を検討します。

構造上、撤去が難しいと判断した場合は、安全性を犠牲にしてまでご希望を優先することはありません。

柱を残したまま空間のアクセントとして活かしたり、間取りを工夫したりと、別の方法をご提案します。


藤枝リノベーション展示場の和室をLDKに変更した施工前後の比較

藤枝リノベーション展示場でも、柱を撤去した部分に新しい梁を加えて補強しています。


木造住宅の柱撤去に伴う梁の構造補強施工状況
押入の柱を撤去して、梁補強したリビング

暮らしやすい間取りをつくることと、建物の構造を守ること。

どちらか一方ではなく、その両方を考えることがリノベーションでは大切だと考えています。



あすなろが大切にする、無理のない構造計画と優先順位


既存住宅では、工事を始めるまで壁の内部の状態がわからないことも珍しくありません。

あすなろ設計事務所では、築年数や現地調査から耐震性能に不安がある場合、あらかじめ構造補強に必要な予算を見込み、リノベーション計画を進めます。

筋交いの配置がわかる図面があれば、計画段階から耐震診断を行います。図面が不足している場合は、解体後に構造の状態を確認し、診断結果に応じて補強計画を調整します。

耐震診断では、建物の地震に対する強さを「上部構造評点」という数値でも評価します。

評点1.0以上が一つの目安ですが、あすなろでは基準ぎりぎりではなく、可能であれば1.25以上を目指し、余裕を持った計画を心がけています。ただし、建物の状態や予算によって、適切な補強内容は異なります。

また、構造に無理をさせることによって生じる変形や、雨漏り・腐朽などによる劣化も見逃せません。既存の弱点を改善し、リノベーションによって新たな弱点をつくらないことを大切にしています。

一方で、リノベーションは耐震性能を高めることだけが目的ではありません。

安全性を確保するための補修や補強を優先しながら、断熱性能や間取り、設備など、これからの暮らしに必要なものへ予算を配分することも重要です。

さらに、地震の揺れによる負担を抑える制振装置も選択肢になります。

必要な安全性を大切にしながら、過度な補強に偏らず、暮らしやすさと予算のバランスを考える。

それが、あすなろ設計事務所の構造計画に対する基本的な考え方です。



完成すると見えなくなる構造を、実物で確認できます


藤枝リノベーション展示場では、耐震診断書のパネルや接合金物などを展示しています。

築41年の住宅を実際にリノベーションした空間で、間取りの変化や、建物を支える構造の考え方をご覧いただけます。

ご自宅の耐震性や間取り変更について気になることがあれば、見学時にご相談いただくこともできます。




次回予告|木造住宅の地震対策②

耐震に制振をプラスする理由

耐震性能を確保することに加えて、地震による建物の揺れや変形を抑える「制振」という選択肢があります。

次回は、耐震と制振の違いや、繰り返す地震と共振への備え、あすなろ設計事務所が制振装置を提案する理由をご紹介します。


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