窓と日射を考えるリノベーション③|サッシ交換と内窓、どちらがいい? 暮らし方から考える窓改修

窓の断熱リノベーションには、サッシそのものを交換する方法、既存の枠を利用するカバー工法、今ある窓の内側にもう一つ窓を取り付ける内窓など、いくつかの方法があります。
では、どの方法が一番よいのでしょうか。
実際のリノベーションでは、断熱性能だけを比べて決めるわけではありません。
その窓から庭へ出るのか。
毎日開け閉めするのか。
外壁にも手を入れるのか。
既存のサッシはきちんと閉まるのか。
こうした間取りや使い勝手、既存住宅の状態まで確認して、窓ごとに改修方法を選ぶことが大切です。
すべての窓を同じ方法で改修するのではなく、リノベーション後の暮らしを考えながら使い分けていきます。
サッシ交換・カバー工法・内窓は何が違う?
サッシ交換は、今あるサッシを撤去して、新しいサッシへ入れ替える方法です。
窓そのものが新しくなるため、開け閉めはこれまでと同じように1回で済みます。
カバー工法は、既存の窓枠を残し、その上から新しい枠とサッシを取り付ける方法です。外壁を大きく壊さずに窓を新しくできることがメリットです。
内窓は、既存の窓をそのまま残し、室内側にもう一つ窓を取り付ける方法です。
窓が二重になることで断熱性能を高めやすく、既存の窓を大きく壊さずに施工できる点もメリットです。
それぞれに良さがありますが、施工方法によって、リノベーション後の使い勝手も変わります。
外壁にも手を入れるなら、サッシ交換を検討しやすい
住宅全体のリノベーションでは、室内だけでなく、外壁の塗り替えなど外部のメンテナンスも一緒に行うことがあります。
こうした工事を行うタイミングでは、庭につながる掃き出し窓など、日常的に人が出入りする場所は、サッシそのものを入れ替える方法を検討します。
庭やデッキへ出るたびに使う窓では、断熱性能だけでなく、毎日の開け閉めのしやすさがとても重要だからです。
出入りのない窓や、外壁に手を付けない場所では、カバー工法や内窓を採用することもあります。
窓だけを単独で考えるのではなく、住宅全体でどこまで工事をするのかによって、窓の改修方法も変わります。
カバー工法は「開口が少し小さくなる」ことも確認する
カバー工法は、外壁を大きく壊さずにサッシを新しくできる便利な方法です。
ただし、既存の枠の内側に新しい枠を取り付けるため、もとの窓より開口が少し小さくなります。
腰窓などではそれほど気にならない場合もありますが、玄関や勝手口、庭へ出る掃き出し窓など、人が通る場所ではこの違いが重要です。
完成してから、
「思っていたより通るところが狭くなった」
となってしまうのは避けたいところです。
そのため、出入りする場所でカバー工法を使う場合には、工事後にどれくらいの開口が残るのかを事前に確認し、お客様にも説明するようにしています。
内窓は、あまり開けない窓と相性がいい
内窓は、既存の窓を残したまま断熱性能を高められる方法です。
特に、
・普段ほとんど開けない窓
・外への出入りには使わない窓
・明かりを取り入れることが中心の窓
などでは、使いやすい方法です。
ただし、窓を開けるときには、
内窓を開けて、そのあと既存の窓を開ける
という2回の操作が必要になります。
毎日何度も出入りする窓に使うと、このひと手間が負担になることがあります。
そのため、内窓を付けられるかどうかだけではなく、その窓を普段どのように使っているのかを確認して判断します。
内窓は、窓枠の奥行きも確認する
内窓は、どんな窓にもそのまま取り付けられるわけではありません。
既存の窓枠に十分な奥行きがない場合には、「ふかし枠」と呼ばれる部材を追加して、内窓を取り付けるスペースを確保することがあります。
その場合、窓まわりが室内側へ少し出てきます。
そのため、
見た目に違和感がないか、カーテンやブラインドとの納まりに問題がないか
といった点も確認しておく必要があります。
性能だけを見れば内窓が使える場合でも、室内側の納まりまで含めて考えることが大切です。
既存サッシがしっかり閉まらない場合は、現地で確認する
既存住宅では、窓の状態も一軒一軒違います。
例えば、今あるサッシがしっかり閉まらない場合には、窓まわりに歪みが生じている可能性があります。
こうした場合は、
「内窓を付ければ大丈夫」
と図面だけで判断することはしません。
必要に応じて、現地でメーカーの職人にも確認してもらい、既存窓の状態を見たうえで改修方法を決めます。
既存住宅のリノベーションでは、現地を見なければ分からないことが多くあります。
商品を選ぶ前に、今の家がどのような状態なのかを確認することも、窓改修では大切な工程です。
一番大切なのは、間取りと使い勝手
サッシ交換、カバー工法、内窓。
それぞれの性能や工事費も重要ですが、特に重視したいのは、リノベーション後の間取りと使い勝手です。
例えば、同じ大きさの窓でも、
・庭へ毎日出る窓なのか
・寝室でほとんど開けない窓なのか
・洗濯物を干す動線上にあるのか
・家具を置くことで開けなくなる窓なのか
によって、適した方法は変わります。
リノベーションでは間取りそのものが変わることもあります。
今まで頻繁に使っていた窓を使わなくなることもあれば、リノベーション後に庭との出入りが増える窓もあります。
だからこそ、現在の使い方だけでなく、これからどのように暮らすのかまで考えて窓を決めることが重要です。
同じ家でも、窓ごとに改修方法を変える
家じゅうの窓を、すべて同じ方法で改修する必要はありません。
例えば、
庭へ出入りするリビングの窓→ サッシ交換を検討
あまり開けない寝室の窓→ 内窓を検討
外壁に手を付けない場所→ カバー工法や内窓を検討
というように、住宅の中で複数の方法を組み合わせることもあります。
第1回では方位によって窓の考え方を変えること、第2回では日射取得型と日射遮蔽型のガラスを使い分けることをご紹介しました。
今回の改修方法についても同じです。
「全部同じにすること」が最適なのではなく、その窓に合った方法を選ぶことが大切です。
窓だけでなく、住宅全体の予算で考える
すべての窓をサッシ交換する方法もあります。
ただし、リノベーションでは窓以外にも、耐震、断熱、設備、内装、屋根や外壁のメンテナンスなど、予算を使う場所がたくさんあります。
限られたリノベーション予算を住宅全体で考え、その家で効果の高いところへバランスよく配分することが大切です。
窓についても、
「ここはサッシ交換」
「ここは内窓」
「ここはカバー工法」
と使い分けることで、必要な性能と使い勝手を確保しながら、住宅全体へ予算を配分できる場合があります。
窓だけを最高性能にするのではなく、家全体としてどこまで快適で安全な住まいにできるか。
あすなろ設計事務所では、こうした全体のバランスを見ながらリノベーションを考えています。
サッシ交換か内窓か。答えは「その窓をどう使うか」
サッシ交換、カバー工法、内窓には、それぞれメリットと注意点があります。
大切なのは、
「どの工法が一番高性能か」だけで決めないことです。
・外壁にも手を入れるのか
・その窓から出入りするのか
・開口が少し小さくなっても問題ないのか
・内窓を2回開け閉めしても使いにくくないのか
・窓枠の奥行きは十分にあるのか・既存サッシの状態はどうなのか
・リノベーション後の間取りで、その窓をどう使うのか
こうした条件を窓ごとに確認することで、その家に合った改修方法が見えてきます。
断熱性能を高めるだけでなく、完成したあとも使いやすいこと。
それが、窓改修で大切にしている考え方です。
ご相談について
サッシ交換、カバー工法、内窓のどれが合うかは、窓の大きさや使い方、既存サッシの状態、住宅全体のリノベーション内容によって変わります。
「全部サッシ交換した方がいい?」「この窓は内窓でも大丈夫?」
など、ご自宅の窓について迷われた場合は、お気軽にご相談ください。
次回は、
窓と日射を考えるリノベーション④|限られた予算でどこまで断熱する? リノベーションの優先順位
についてご紹介します。
窓、壁、床、天井など、断熱したい場所はたくさんあります。
すべてを一度に改修できるとは限らない中で、どこから手を入れるのか。その住宅の状態や暮らし方、工事内容に合わせた予算配分の考え方をご紹介します。

