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窓と日射を考えるリノベーション②|Low-E複層ガラスはどれも同じ? 日射遮蔽型と日射取得型の選び方

9月8日
読了時間: 6分

更新日:9月14日


南面と西面の窓が同じ空間にあるケース
リノベーション前|南面と西面の窓が同じ空間にあるケース

窓の断熱リノベーションでよく使われる「Low-E複層ガラス」。

断熱性を高めるために使われるガラスですが、実はLow-E複層ガラスにも、太陽の熱を取り入れやすいタイプと、太陽の熱を抑えやすいタイプがあります。

どちらか一方が優れているわけではありません。

冬の暖かい日差しを活かしたい窓なのか。 夏の強い日差しを抑えたい窓なのか。

方位や日当たり、周辺環境、軒の出、そして住む方が暑さと寒さのどちらを気にされているのかによって、選ぶガラスは変わります。

窓の性能は、数字だけでなく、「その窓がどこにあり、どのように使われるのか」まで考えて選ぶことが大切です。


Low-E複層ガラスにも種類がある


「Low-Eガラスにすれば、どの窓も同じ仕様でいい」

と思われるかもしれませんが、実際の窓選びはもう少し細かく考えます。

大きく分けると、

・冬の太陽の熱を室内に取り入れやすい「日射取得型」 ・夏の太陽の熱が室内に入るのを抑えやすい「日射遮蔽型」

という考え方があります。

そのため、家じゅうの窓をすべて同じガラスにするのではなく、方位や日当たりに応じて使い分けることがあります。


日射取得型は、冬の太陽の熱を活かす


冬の晴れた日に、窓際にいると暖かく感じることがあります。

これは、窓から入ってきた太陽の熱によるものです。

冬の日差しを上手に室内へ取り入れられれば、暖房だけに頼らず、自然の熱を利用することができます。

そのため、南側の窓では基本的に、冬の日射を活かすことを考えて日射取得型を検討します。

特に冬の日当たりがよい住宅では、せっかく入ってくる太陽の熱を必要以上に遮らないことも大切です。

ただし、南向きだから必ず日射取得型にするわけではありません。


日射遮蔽型は、夏の強い日差しを抑える


夏は反対に、窓から入る太陽の熱が室内の暑さにつながります。

特に気をつけたいのが西日です。

午後の低い位置から入る日差しは室内の奥まで届きやすく、暑さだけでなく、家具や内装の日焼けや傷みにつながることもあります。

そのため、

・西日が強い窓 ・軒の出が少ない窓 ・2階リビングなど暑さの影響を受けやすい部屋 ・夏の暑さが苦手な方が過ごす部屋

などでは、日射遮蔽型を検討します。

窓の断熱性能だけでなく、どれだけ太陽の熱を室内に入れるかまで考えることがポイントです。


南は取得型、西は遮蔽型と単純には決められない


基本的な考え方としては、

南側は冬の日射を活かす。 西側は夏の強い日差しを抑える。 北側は断熱性能を重視する。

という方向があります。

しかし、実際の住宅は方位だけでは決まりません。

例えば、西側に建物が隣接していて、ほとんど西日が入らない窓であれば、日射遮蔽よりも断熱性能を重視する考え方になります。

反対に南側でも、

・軒の出が少ない ・日当たりが非常によい ・2階リビング ・暑さが苦手

といった条件が重なる場合には、日射遮蔽型を選ぶこともあります。

あすなろ設計事務所では、方位をひとつの基準にしながら、

・周辺の建物 ・実際の日当たり ・軒の出 ・部屋の使い方 ・暑さ、寒さの感じ方 ・ご予算

などを確認し、お客様と相談しながらガラス仕様を決めています。


軒があっても、日差しをすべて防げるわけではない


南側にしっかりと軒が出ている住宅では、夏の日差しを抑える効果が期待できます。

ただし、

「軒があるから夏の日差しは大丈夫」

と単純に判断することはできません。

太陽の高さや方向は、季節だけでなく時間帯によっても変わります。

特に朝夕は太陽の位置が低くなるため、軒があっても低い位置や斜め方向から日差しが入りやすくなります。

また、夏至の頃と実際に暑さが厳しくなる時期では、太陽の位置も同じではありません。

そのため、軒の有無だけを見るのではなく、

実際にどの方向から、どの時間帯に日差しが入るのか

まで確認して考えることが大切です。


リノベーションでは、今ある条件の中で窓を考える


新築では、窓の位置や大きさ、軒の出などを設計段階から計画できます。

一方、リノベーションでは、既存の窓位置や建物の形、周辺環境など、すでにある条件を活かしながら改善していくことが基本になります。

夏の日射熱をできるだけ室内へ入れないという点だけを考えれば、窓の外側で日差しを遮る方法は有効です。

ただし、既存住宅に新たな外部部材を設ける場合には、工事費だけでなく、外観や雨風による劣化、将来の維持管理についても考える必要があります。

あすなろ設計事務所では、限られたリノベーション予算を住宅全体で考え、耐震・断熱・設備・メンテナンスなど、その住宅で効果の高い部分へバランスよく配分することを大切にしています。

そのため日射対策についても、外部造作を増やすことを前提とせず、まずはそれぞれの窓の方位や日当たりに合わせてガラスの種類を選びます。

そのうえで、室内ではレースカーテンやドレープカーテン、縦型ブラインドなどを使い、季節や時間帯によって日差しを調整します。

特に縦型ブラインドは、羽根の向きを変えることで、直射日光を抑えながら室内に明るさを取り込むことができます。

藤枝のリノベーション展示場でも縦型ブラインドを設置していますので、実際の使い方や光の取り込み方をご覧いただけます。

すべてを建築工事で固定するのではなく、

「住宅そのものの性能」と「暮らしながら調整できるもの」を組み合わせる。

これも既存住宅のリノベーションでは大切な考え方です。

「高性能」ではなく、その家に合うガラスを選ぶ


日射取得型と日射遮蔽型は、どちらが上というものではありません。

同じ南向きの窓でも、

・軒がどれくらい出ているか ・周辺に建物があるか ・冬の日差しがどれくらい入るか ・夏の暑さをどの程度感じるか ・その部屋をどのように使うか

によって選択は変わります。

窓リノベーションで大切なのは、単純に「一番性能の高い商品」を選ぶことではありません。

その家、その窓、その暮らしに必要な性能を選ぶこと。

そして、限られたリノベーション予算の中で、必要なところに必要な性能を持たせること。

それが、快適性と費用のバランスを取ったリノベーションにつながると考えています。




ご相談について

日射取得型と日射遮蔽型のどちらが合うかは、窓の方位や周辺環境、暮らし方によって変わります。

「自宅の場合はどちらが合うのだろう?」と迷われた場合は、お気軽にご相談ください。





次回は、

についてご紹介します。

同じ窓の断熱改修でも、サッシごと交換する方法と、今ある窓の内側にもう一つ窓を設置する方法があります。

性能だけでなく、出入りや開閉の頻度など、実際の使い方から考える窓改修の選び方をご紹介します。

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