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「ちょうどいい」を形に。二世帯リノベーション

このページでは、二世帯で暮らす住まいを、今ある建物を土台にしながら整えていったリノベーション事例を紹介しています。
決められた枠の中で、暮らし方を見つめ直し、必要なところにだけ手を入れることで、家族それぞれにとって「ちょうどいい」関係性と住まいのバランスを探っていきました。

|暮らしの変化をきっかけに

 

二世帯での暮らしを考え始めたとき、多くのご家族が「今の住まいをどう活かすか」という問いに向き合います。すぐに建て替えるのではなく、これまでの暮らしや環境を土台にしながら、無理のない形を探していく。そんな考え方から、このリノベーションの計画が始まりました。

この住まいも、これまでの暮らしの延長線上にある場所でした。住まいの条件が変わったことをきっかけに、初めて「手を入れる」という選択肢が生まれ、二世帯での暮らしに向けた見直しを進めています。

Project Overview

​建築地:静岡市駿河区

​ご家族:40代ご夫婦+お母様

施工面積:136.21㎡(41.20㎡)

リノベーション費用:2,400万

建物種別:重量鉄骨造

築年数:築35年

リノベーション内容:
間取り変更/断熱改修(断熱材・玄関サッシ入替)/水回り更新/造作洗面台/無垢床/外壁ガルバニウム/外構

Before After 各階平面図

Before 1階平面図

After 1階平面図

二世帯1階既存図面

Before 2階平面図

二世帯1階リノベ図面

After 2階平面図

二世帯2階既存図面

Before 3階平面図

二世帯2階リノベ図面

After 3階平面図

二世帯3階既存図面
二世帯3階リノベ図面

|既存の住まいと、これまでの暮らし
 

この住まいは、長く暮らしてきたからこそ、日常の動きや過ごし方がすでに体に馴染んでいました。一方で、家族構成や生活のリズムが変わる中で、少しずつ使いにくさや窮屈さを感じる場面も増えてきます。
 

すべてを新しくする必要はないものの、このままでは二世帯での暮らしには無理が出そうだと感じられたことが、住まいを見直すきっかけになりました。これまでの暮らしを大切にしながら、どこを整えるべきかを丁寧に考えるところから、計画が始まっています。

|単世帯の前提から、二世帯の前提へ

 

この住まいは、もともと単世帯向けにつくられた間取りでした。空間の使い方や動線は、一つの家族で暮らすことを前提に組み立てられており、そのまま二世帯で暮らそうとすると、生活の重なりによる負担が生じてしまいます。

そこでまず行ったのは、「間取りをどう変えるか」を考えることではなく、「二世帯として、どんな暮らし方をしたいか」を整理することでした。生活の時間帯や家事の動き方、互いに気を遣わずに過ごせる距離感を一つずつ想像しながら、住まいの前提そのものを見直しています。

単世帯仕様のままでは用途に合っていなかった空間に、新しい役割を与え直すことで、二世帯での暮らしを無理なく受け止める土台を整えていきました。

リノベ後玄関

玄関正面は事務所兼ガレージにつながる。宅内・外部の両方からアクセスが可能です。

リノベ後家事スペース

大きな窓を取り入れた家事室は、
光と風が日常をやわらかく包む場所になりました。

|条件の制約と優先順位の整理

 

既存改修では、使える範囲や変更できる内容が、あらかじめ決まっていることも少なくありません。今回も、面積や予算の制約から、すべてを分けることは現実的ではありませんでした。

玄関や浴室は共有とし、その代わり、暮らしに直結するキッチン、洗面、洗濯といった家事機能を3階に集約しています。2階のお母様の生活エリアと家事動線を分離することで、気を遣いながら洗濯や身支度をする必要がなくなり、日常のストレスを減らす判断としました。

限られた条件の中で、何を分け、何を共有するか。その優先順位を整理しながら、暮らしにとって負担の少ない形を探っていった計画です。

事務所兼バイクガレージ

元の床を活かして外部から土間仕様に。暮らしの特別な時間と、日常の使い勝手を両立させています。

|二世帯にとっての「ちょうどいい」を探して

 

インテリアの方向性については、好みであった男前インテリアを強く押し出すのではなく、流行に寄りすぎない、少し塩気を感じる程度のテイストに抑えています。時間が経っても違和感なく暮らせることを大切にしました。

限られた空間の中では、既製品ではサイズが合わなかったり、雰囲気がなじまなかったりする場面も多くあります。そこで、造作を多用し、空間に合わせて一つひとつ整えることで、使い勝手とテイストの両立を図っています。

事務所兼バイクガレージは、このリノベーションの中心となる場所です。天井はあえて外し、構造体を見せる仕上げとしていますが、鉄骨はツヤを抑えた塗装とし、塗装した印象が前に出すぎないよう配慮しました。好きなテイストに囲まれながら、仕事や趣味に向き合える、これまでの歩みとこれからの励みになる空間です。

また、屋根形状の影響で雨音が響きやすい3階、特に寝室については、断熱材を厚く入れる計画としました。断熱性能だけでなく、音による不快感を抑えることも目的とし、日常の快適さを支える見えない部分にも配慮しています。

ご自身で事業を続けてこられた中で、ようやく手に入れた住まい。その喜びに触れる中で、この仕事の責任の重さをあらためて感じました。すべてを変えなくても、考え方と手の入れ方次第で、住まいは「ちょうどいい」形に整っていきます。二世帯それぞれが自然体で過ごせる住まいを目指したリノベーションです。

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